【審美歯科】e.maxを使用した症例:天然歯の色を再現するのって難しいんです。

[2016年07月23日]

こんにちは。院長小北です。

今日はセラミッククラウンの色合わせについて説明します。

セラミッククラウンで一番難しいのは、1本だけかぶせる場合や左右非対称の歯にかぶせる場合です。

左右対称に2本から6本の歯にセラミッククラウンをかぶせる場合は、色を多少白めにしてもきれいなのですが、1本だけかぶせるとなると、周りの歯の色に色を合わせる必要があります。

 

今回の症例は、側切歯(2番)にオールセラミッククラウン(e.max)をかぶせた症例です。

初診時の口腔内写真です。

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歯茎がやせてしまい、黒ずんだ歯の根元が見えています。

かぶせ物は金属の上にセラミックを焼き付けたメタルセラミッククラウンが入っていました。(画像右)

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当院では、自費治療に関してはすべて金属を使用しないメタルフリー修復を行っています。

画像左のようなジルコニアセラミッククラウンの他に、セラミックのみでできたオールセラミッククラウン(e.max)があります。

素材選びで悩まれる方が多いので、簡単なフローチャートをつくってみました。

補綴説明用(PDFで横印刷) のコピー

 

話しが逸れましたが、

メタルセラミッククラウンを除去すると、黒ずんでみえていた歯も通常の歯の色になりました。

金属を使用すると影になってしまい、歯は黒くなくても黒ずんで見えてしまいます。

審美歯科では金属を使用せずに治療するのがベストです。

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シェードガイド(色見本)を使って、歯の色を測定します。

今回の症例で問題になったのが、メタルコア(金属製の土台)です。

セラミッククラウンの場合、通常は白い樹脂製のファイバーコアにやりかえることが多いのですが、メタルコアを除去することで歯の寿命を縮めてしまいそうな場合に限り、そのまま使用する場合があります。

メタルコアの除去するには歯を多少削る必要があり、かなりのリスクを伴います。メタルコアは非常に接着性がよく、歯の再治療にはむいていません。

昔は歯の補強に金属製のメタルコアを使用することが多いのですが、金属製の土台は歯よりも硬く、使っていくうちに歯の方がもたなくなって割れてしまうことがよくあります。

当院では、自費治療だけでなく、保険治療でもメタルコアを使用していません。

 

 

今回使用したe.maxオールセラミックスクラウンは、当院では色見本通りの歯の色の場合に使用することが多いです。

今回のように、歯の土台に金属が入っていると、透明感のあるe.maxでは金属の色が透けてしまい、グレーががって見えることがあります。

こちらが実際のかぶせ物です。

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背景を黒くして撮ってみたのですが、若干の違いがあります。

色見本通り(右:青矢印)と透明感を少なめにした色(左:緑矢印)で同じ携帯で色違いのものを2本つくってもらいました。

(※ コストがかかるため、一般の歯科では2本つくることはまずありません。)

 

それを口腔内で装着すると、

こちらは色見本通りの色では、金属の色が透けてちょっと暗く見えます。

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透明感を少なくした色では、ちょうどよい感じでした。

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そして、Before-Afterの写真です。

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自然な感じで装着できました。

下地の色がもっと黒い場合は、e.maxよりもジルコニアセラミッククラウンの方がきれいに色が合います。

 

色合わせって本当に難しいです。

審美相談でこられた方でよく聞くのが、高い費用を出したのに色が合わなかったと言われます。

色をきちんと合わせるためには、歯茎の状態を整えて素材に合わせた歯の形成ができる歯科医師と、歯の色を見極めてそれを再現できるだけの腕をもった歯科技工士が必要になります。

 

 

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